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TCFD提言に基づく情報開示

戦略

当社は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)のNZE2050(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)、その他関連情報に基づき、気候変動のリスクおよび機会による組織のビジネス戦略や財務計画への影響を識別しております。その際、気候変動の対策が採られる1.5℃シナリオと、その対策が行われない4℃シナリオを想定し、各シナリオについてリスクと機会の影響を把握するよう努めております。そのうえで、識別したリスクと機会に対する対策を講じる体制を整えることで気候変動に対する強靭性を高めて参ります。

短期・中期・長期における気候関連リスクおよび機会

気候変動に関するリスクと機会には様々なものがありますが、リスクには大別して移行リスクと物理リスクがあります。移行リスクとは気候変動に順応するうえで生じるリスクであり、現行の規制に伴うリスク、新たな規制に伴うリスク、法規制に伴うリスク、技術リスク、市場リスク、評判リスクがあります。また、物理リスクは、文字どおり物理的に生じるリスクをいい、急性リスクと慢性リスクに分けることができます。反対に、機会は気候変動によって生じる正の影響であり、市場、レジリエンス、資源の効率性、エネルギー源、製品・サービスに分類することができます。当社では、これらの分類ごとに、当社の調達と売上に対する短期(1年)、中期(3年)、長期(10年)の財務的影響を定性的に評価・分析しております。

2022年度の分析結果は以下のとおりであります。

1.5℃シナリオ

リスク・機会 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
移行リスク 現行の規制 調達
売上
新たな規制 調達
売上
法規制 調達
売上
技術リスク 調達
売上
市場リスク 調達
売上
評判リスク 調達
売上
機会 市場 調達
売上
レジリエンス 調達
売上
資源の効率性 調達
売上
エネルギー源 調達
売上
製品・サービス 調達
売上

気温が1.5℃上昇するシナリオでは、温室効果ガスを排出する業界への規制が強化され、技術革新や新たなエネルギーへの転換が進むと想定されております。また、世界経済フォーラムが指摘するように、気候変動対策は必ずしも順調に進んでおらず、今後、大幅な物価上昇や自然災害の影響を受けるリスクがあります。こうした変化に伴う当社のリスクとしましては、新たな規制に伴うリスクについては調達、売上ともに、炭素税の引き上げによって製造に係るエネルギーコストおよび調達品の価格が増加することによる影響が高くなる可能性があります。また技術リスクにおいてはクリーンエネルギー技術の普及により、新しい技術の導入に係る設備投資コストが拡大するリスクが考えられます。同時に気候変動による正の影響もあり、資源の効率化では省エネや廃棄物処理などを含めた様々な資源効率性の向上により製造コストが削減し、調達の機会への影響が高まる可能性があります。また製品サービスにおいては需要拡大による機会への影響度が高くなることが考えられます。

4℃シナリオ

リスク・機会 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
移行リスク 現行の規制 調達
売上
新たな規制 調達
売上
法規制 調達
売上
技術リスク 調達
売上
市場リスク 調達
売上
評判リスク 調達
売上
機会 市場 調達
売上
レジリエンス 調達
売上
資源の効率性 調達
売上
エネルギー源 調達
売上
製品・サービス 調達
売上

気温が4℃上昇するシナリオでは、気候変動対策はあまりなされないことが想定されているため、短期・中期ではリスクが低いものと見られておりますが、長期的には気候変動対策が徐々に行われると想定されるため、新たな規制に伴うリスクがある程度高まる可能性があります。機会におきましても、長期的には4℃に抑えるための努力がなされると想定されますので、資源を効率的に使う機会があるものと考えられます。

リスク・機会 サプライ
チェーン
影響度
(短期)
影響度
(中期)
影響度
(長期)
物理リスク 急性リスク 調達
売上
慢性リスク 調達
売上

物理リスクとしましては、各種経費の高騰、災害時におけるロジスティクスの混乱やコスト増等を原因として、長期における調達面で急性・慢性ともに中程度のリスクが発生する可能性があります。
一方で売上につきましては、気候変動がある場合におきましても医療の需要がなくなることはなく、リスクとしては低いものと考えております。