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麻酔の役割

手術は体にメスを入れます。当然痛みと大きなストレスを伴います。このストレスから患者さんの体を守るのが麻酔です。麻酔は意識をとり、痛みをなくし、ストレスによる有害な反射から患者さんの体を守ります。

麻酔の安全性

現在では安全性の高い麻酔薬が開発され使用されています。また、患者さんを監視するための医療機器も非常に進歩しています。一般に麻酔自体の危険性は1万人に1人以下で、非常に安全な方法です。さらに安全な麻酔を行うために、現在内服している薬や特異体質などがあれば医師に知らせておくことが必要です。

麻酔の種類

麻酔は手術する部位や患者さんの状態に応じていくつかの方法があり、一般的には以下のようなものが挙げられます。

全身麻酔

痛みを感じる部位である脳の機能を抑えることで患者さんが手術の痛みを感じないようにします。
大きな手術では全身麻酔を行いますので意識もなくなってしまいます。また、気道閉塞とともに自発呼吸が減弱または停止するため気道確保と同時に分離肺換気が必要になります。

人工呼吸ができる気道確保の方法には気管内挿管があります。通常は気管内挿管チューブを口から気管まで挿入し人工呼吸器とつなぎます。口から挿入できないときは鼻から挿入するか、気管切開チューブを留置します。

脊椎麻酔・硬膜外麻酔

「脊髄」という背骨の中を通っている太い神経の束、もしくは脊髄を包む「硬膜」という膜の外側に麻酔薬を注入して、手術する部位から脳への痛みの信号が伝わらないようにする方法です。下半身や下肢の手術のときにしばしば使用されるほか、全身麻酔と併用されることもあります。

硬膜外麻酔では、麻酔薬を注入した特定の範囲の知覚神経、運動神経、交感神経を遮断し特定の部分の知覚を麻痺させることができるので、麻酔を入れるための細いチューブ(硬膜外カテーテル)を脊髄の近くに残しておいて手術後の鎮痛に使われることもあります。

局所麻酔

手術する部位の周辺に麻酔薬を注射して、その部位のみの痛みをとります。通常、小手術のときに使用されます。

麻酔の副作用と合併症

副作用

悪心や嘔吐
声のかすれや喉の痛み
歯の損傷
尿閉
頭痛(脊椎麻酔)
背部痛(脊椎麻酔、硬膜外麻酔)
既往症の悪化
※これらは適切な対処をすれば後遺症を残すことは稀です 。

合併症

肝腎機能障害
アレルギー反応
悪性高熱症
硬膜外血腫、膿瘍、クモ膜下血腫、髄膜炎
肺機能障害
不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全、心停止
脳梗塞、脳出血
※このような合併症が起こるのは極めて稀です 。

手術後の鎮静

手術が終わり麻酔から覚めてくると手術した場所が痛く感じてきます。痛みの感じ方には個人差があります。患者さんにあった鎮痛法で痛みの軽減や除去、ストレス反応の軽減、患者さんの満足感や快適性の向上などを図ります。  
※ご心配やご不安なことがございましたら、主治医の先生にご確認ください。